植物防疫とは

 植物の輸出入に伴い植物の病害虫がその植物に付着して侵入することを防ぐため、輸出入の時の検査や消毒・処分などの必要な措置を執ることをいいます。
 農林水産省植物防疫所は、那覇植物防疫事務所を含め、全国5か所に置かれ、わが国の植物に被害をもたらす海外からの病害虫の侵入を未然に防ぐため、全国の港湾や空港で輸入検疫を行っているほか、諸外国の要求に応じた輸出検疫、重要病害虫の国内での蔓延を防ぐための国内検疫などの業務を行っています。

海外への持ち出し

輸出植物検疫(輸出相手国の要求に応じて日本から輸出する植物の検疫を行うこと)

 諸外国でも植物検疫を実施しており、日本から植物などを輸出する場合には、輸出相手国が行っている植物検疫の条件に適合した植物を輸出する必要があります。
 諸外国が行っている植物検疫の条件には概ね以下のような要件がありますが、詳細については、最寄りの植物防疫所に問い合わせて下さい。

  • 輸入国の法律により輸入を禁止するもの
  • 輸入国の輸入許可により輸入を認めるもの
  • 輸入国の植物検疫機関で検査を受け、「植物検疫証明書」(Phytosanitary sertificates)が添付されていれば輸入を認めるもの
  • 輸出国での消毒措置が必要なもの
  • 輸出国での栽培中に病害虫の検査が必要なもの
  • 輸送方法、植物形態、輸入時期、輸入場所及び梱包形態を制限するもの
 輸入国が日本での栽培地における検査を要求している植物については、予めその栽培地で植物防疫官の検査を受け、それに合格しなければ輸出検査を受けることができません。
 なお、詳細は農林水産省植物防疫所のホームページ(http://www.maff.go.jp/pps/index.html)をご参照下さい。

海外からの持ち込み

 農林水産省植物防疫所は海外からの、わが国で未発生・未確認の病害虫の侵入を防ぐため、植物の種類及び部位ごとに輸出国の栽培地での検査を義務づけ、輸入の禁止、検査などを実施しています。
 植物を海外から輸入する際の規制については、農林水産省植物防疫所のホームページ(http://www.maff.go.jp/pps/index.html)にある「輸出入条件検索」→「輸出入条件詳細情報」→「輸入条件に関するデータベース」で調べると便利です。
 以下に、果樹に関連する輸入禁止対象病害、輸出国での栽培地検査が必要な病害虫及び輸出国での輸出前検疫措置が必要な病害虫の代表例について列挙しますが、対象国及び対象植物については最寄りの農林水産省植物防疫所に問い合わせるか、植物防疫所のホームページを参照して下さい。

輸入禁止対象病害虫

  • 火傷病菌(Ervinia amylovora
  • カンキツグリーニング病菌(Candidatus Liberibacter
  • カンキツネモグリセンチュウ(Radopholus citrophilus

輸出国での栽培地検査が必要な病害虫

  • バナナネモグリセンチュウ(Radopholus similis
  • サドンオークデス病菌(Phytophthora kernoviae
  • サドンオークデス病菌(Phytophthora ramorum
  • ウメ輪紋ウイルス(Plum pox virus)

輸出国での輸出前検疫措置(遺伝子診断、熱処理など)が必要な病害虫

  • サドンオークデス病菌(Phytophthora kernoviae
  • サドンオークデス病菌(Phytophthora ramorum
  • ポテトスピンドルチューバーウイロイド(Potato spindle tuber viroid)

隔離栽培が必要な植物について

 苗木、穂木などの種苗は、輸入時の検査だけでは発見が困難なウイルス病などに汚染されている可能性があります。また、国内の圃場(果樹園など)に直接植え付けられ長期間栽培されることから病害の侵入の危険性がより一層高いと考えられます。このため、特に重要な種苗については、輸入に際し、他の植物類から隔離された圃場で一定期間栽培(隔離栽培)し、その間にウイルス病などの検査を行っています。

  • 隔離検疫が必要な植物(組織培養体も含む)

    以下に示す属(種)植物の果樹類の苗木又は穂木が対象です。

    カラタチ属、キイチゴ属、キンカン属、クリ属、クルミ属、コケモモ属、サクラ属

    スグリ属、ナシ属、ブドウ属、ミカン属、ヤマモモ属、リンゴ属、パインアップル

  • 隔離検疫の栽培期間
    果樹類(パインアップルを含む):1年
    ただし、検定上必要な場合は、さらに2年間まで延長することがあります。
  • 隔離検疫の手続き
    隔離検疫対象植物を輸入しようとする場合は、輸入検査申請に先立って輸入する植物の品目及び数量等について予め植物防疫所に書面をもって連絡する必要がありますので、詳細については、最寄りの植物防疫所(別表参照)に問い合わせて下さい。
相談窓口
 問合せ先  住所  電話番号
 横浜植物防疫所  〒231-0003 横浜市中区北仲通 5-57  045-211-7153
 名古屋植物防疫所  〒455-0032 名古屋市港区入船 2-3-12  052-651-0132
 神戸植物防疫所  〒650-0042 神戸市中央区波止場町 1-1  078-331-1350
 門司植物防疫所  〒801-0841 北九州市門司区西海岸 1-3-10  093-321-2601
 那覇植物防疫事務所  〒900-0001 那覇市港町 2-11-1  098-868-2850