品種育成者権

 育成者権は、品種登録により育成者等に与えられる法的権利で、知的財産権の一種です。
 育成者権を有する者(育成者権者)は、業として、登録品種及び登録品種と明確に区別されない品種の種苗、収穫物及び一定の加工品を利用(生産、譲渡等)する権利を専有(独占)します。育成者権者以外の者は、原則として育成者権者の許諾を得なければ登録品種等を増殖、販売など利用することはできません。

生産など種苗の利用行為(育成者権者の許諾が必要な行為)とは

 登録品種の利用は育成者権の効力が及ぶ行為であり、登録品種を業として利用する場合は、育成者権者の許諾が必要となります。

 利用権の具体的内容は、

1.種苗に係わる行為
  • 生産:種苗(苗木、穂木など)を生産することです。
  • 調整:夾雑物の除去、精選、種子の洗浄、乾燥、薬品処理、コーティング等です。
  • 譲渡の申し出:カタログを需用者に配布し、注文を受けられるようにすることや店頭、に品種名及び価格等を提示することです。
  • 譲渡:種苗の販売、植物園での入場者への配布等です。
  • 輸出:種苗を海外に向け送り出すことです。
  • 輸入:外国にある種苗を国内に搬入することです。
  • 保管:上記の利用行為のために保管することです。

 種苗の段階で権利を行使する適当な機会がなかった場合には収穫物に権利が及びます。

2.収穫物に係わる行為  

  種苗と同様の行為に以下の項目が加わります。

  ただし、「調整」は収穫物では考えられないため除かれます。

  • 貸渡しの申出:カタログを需用者に配布し、苗木や観賞用植物のリースなどの注文を受けられるようにすることです。店頭に品種名及び店頭に品種名及び価格等を提示することです。
  • 貸渡し:例えば植木や観賞用植物等のリースなどです。

育成者権侵害に対する罰則

 育成者権者又は専用利用権者に無断で登録品種を利用した場合、育成者権を侵害したことになります。育成者権者等は、侵害者に対し、民事上、以下のことを請求できます。

  • 侵害行為を止めること、侵害行為において作られた種苗、収穫物若しくは加工品の廃棄を求めること等(差止請求)
  • 損害の賠償を求めること(損害賠償請求)
  • 信用の回復に必要な措置等を求めること(信用回復の措置請求)

 故意に育成者権を侵害した場合には、以下の刑事罰が科されます。

  • 個人:10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金

       又はこれらの併科(懲役と罰金の両方を科す)

  • 法人:3億円以下の罰金